Tips

竹について

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竹について

竹の生態
竹の生態について

竹は温暖湿潤な地域で良く生育する、イネ科の常緑性多年生植物で、国内にある約600種に及ぶとされています。 4月中頃から地下茎の節にある芽が筍となって生え始め、成長が早く、およそ一ヶ月あまりで成長が完成します。1日に1m以上も成長したという記録も残っています。
竹の寿命は20年ほどであり、竹には形成層がないため、一度成長が終わると樹木のように太くなることも伸びたりすることもありません。 2年目以降は太さや背丈は変わらないのですが、肉質がどんどん強くなっていきます。 しかし、これにも限度があり、7年を過ぎた前後から、質が脆くなると言われます。 ですから、竹細工に用いるのは、だいたい3年ものから7年ものまでというのが通常です。 茶筌に使用する竹も、3年ものを使います。
また竹は120年に一度花を咲かせます。花が咲いてしまうと竹林全体が枯れてしまい、元に戻るのに10年ほど掛かります。

竹の特徴について

竹は抗菌性や消臭性などの優れた特性を持つことが知られています。昔からおにぎりを竹皮で包んで持ち運んだり、お肉屋さんの包材として使われていたのは竹の抗菌性を利用した先人の知恵でした。このような抗菌性が注目され、竹の抽出物を主成分とした抗菌剤の研究が進んでいるようです。
消臭性では野生の熊は狩りに出かける前に竹の葉を食べ、体臭や息の臭いを抑制し、相手に気づかれないようにしているとか。竹を主食とするパンダの糞は無臭であるといった自然が教えてくれる竹が本来持っている消臭力があります。
また、竹は丈夫でしなやかな強さを持っています。日本で鉄が不足していた時代には竹筋コンクリートとして鉄筋の代替に利用されていたほどの丈夫さと、特有の柔軟なしなりを持つ加工のしやすさで日本人の暮らしに竹かごや竹ざるなどの民具はもちろん、さまざまな製品にいかに竹が多用されてきたかという証でもあります。

竹の特徴
茶筌に使用する竹の種類

茶筌は3年生の竹を切り出し、2か月間天日に干します。高山では"寒干し"と言い、冬の風物詩になっています。高山のやわらかい日差しと冷たい風が、固く身がしまった艶のある竹を作り出します。干した後、倉庫で2年寝かせ、更に乾燥させます。この間に割れる竹や曲がった竹などを取り除き、厳選されたものだけが茶筌の材料として使われます。

竹の種類
白竹
白竹(淡竹)
直径3~10cm、高さ15m程の大型種で、耐寒性があるため比較的寒い地域にも生育しています。
稈には全体的に粉をふいているように白味を帯びて見える事からかハチクの名前は白竹からではないかとも言われています。
維管束が最も小さくて数も多いため、表面が緻密で細く割りやすい性質があります。この材質から、茶筌を作るのに一番適している竹です。
煤竹
煤竹(ススタケ)
古い藁葺き屋根民家の屋根裏や天井からとれる竹で、100年から200年以上という永い年月をかけ、囲炉裏の煙で燻されて自然についた独特の茶褐色や飴色に変色しているのが特徴です。
お茶やお花の道具などに多用される竹で、孟宗竹や真竹などと同じように竹の種類として自然にあるものではありません。
煤色に光っている最高級竹材。次第に数量が少なくなり希少価値が高まっています。
黒竹
黒竹(紫竹)
黒竹は、淡竹の一種で、直径は2~3センチ、高さは3~5メートルです。
茎が8ヶ月を過ぎた頃からだんだんと黒くなり、2年経つと黒紫色に変わるところから黒竹と呼ばれています。紫竹とも言われ稈の美しさから様々な竹細工に利用されたり観賞用として好まれています。
黒竹は、よく見るマダケなどの種類と違ってあまり大きくならず小ぶりで、手入れや増やし方も簡単です。
青竹
青竹(真竹)
真竹は直径15cm、高さ20mになる大型種で、節には環が2つあり節間が長く、材質部は薄いです。
材質は、弾力性があるなど優れており、建築や竹細工に利用されています。
茶筌に使うのは真竹の中でも、青竹と呼ばれる竹だけです。
竹と環境問題

世界全体でこのまま木材消費が続き、森林破壊が進むと世界中の森林は50年後にはなくなるといわれています。森林の破壊は地球の砂漠化と温暖化、異常気象、生態系の破壊など、地球全体の生命維持システムの崩壊につながります。

成長が早いから木材の代わりに
木材の育成には最低50年はかかりますが、しかし、竹は成長が早く、3年で身の引き締まった立派な成竹になります。 日本には古来からすばらしい「竹の文化」があり、竹を住居や生活に上手に利用してきました。また竹には天然の抗菌・浄化作用があり、とても人間にやさしい植物です。
根を張る力が強い
竹は根を張る力が強い為に、地崩れや地盤沈下を防ぎます。同時に、他の植生を脅かすこともありますので、竹林を健全に保つためには適度に伐採して、密生を防ぐ必要があります。 現在、高山では大学機関の協力も得て、高山の竹林を蘇らせる活動が行われています。